運用編 第4回:地域・時間帯・デバイスで広告費を集中させる
リスティング広告の運用では、キーワードや広告文だけでなく、どこに、いつ、どの端末へ、どの媒体で広告を出すかも重要です。
通常、私たち零細・中小企業では、広告費が限られているため、ニッチな産業であれば全国配信することもありますが、。特に地域密着型の事業では、成果につながりやすい地域・時間帯・デバイス・媒体に集中させたることをお勧めします(周知含めた大企業による配信でも、ニーズのあるデバイス・媒体に少しでも多く配信させるなどの措置は行っています)。
今回は、運用編 第4回として、地域・時間帯・デバイスで広告費を集中させる考え方に加え、Google広告・Yahoo!広告・Microsoft広告などの媒体選定、検索広告・バナー広告・動画広告の組み合わせについて解説します。
広告は広く出せば良いわけではない
リスティング広告では、配信範囲を広げること自体は難しくありません。地域を広げ、時間帯を広げ、キーワードを広げ、複数の媒体に出稿すれば、表示回数やクリック数は増えやすくなります。
しかし、表示回数やクリック数が増えても、問い合わせや購入につながらなければ意味がありません。
広告費が十分にある大規模な広告運用であれば、広く配信してデータを集めながら最適化する方法もあります。一方で、広告費が限られている場合は、最初からある程度絞り込み、成果につながりやすい場所に広告費を集中させる考え方が必要です。
広告運用では、広げることよりも、どこに広告費を使わないかを決めることが重要になる場面があります。
【ポイント】
最近では問合せフォームへ営業メール配信されることが多くなっています。その対応策としても地域設定だけでなく、関連のない地域は除外設定することにより、関連の無い地区からの営業メールを縮小させます。
地域は、商圏に合わせて見直す
地域設定は、広告費を集中させるうえで非常に重要です。
Google広告では、国、地域、市区町村、半径指定など、広告を表示する地域を設定できます。Google公式でも、地域ターゲティングは、選択した地域に広告を表示し、ビジネスに合った顧客を見つけるために役立つと説明されています。
たとえば、実際には対応していない地域からクリックが発生している場合、そのクリックは問い合わせにつながりにくい可能性があります。対応エリア外のクリックに広告費を使ってしまえば、本来狙いたい地域に使える予算が減ってしまいます。
地域設定では、次のような点を確認します。
- 実際の商圏と配信地域が合っているか
- 対応できない地域に広告が出ていないか
- 問い合わせやCVが発生している地域はどこか
- クリックは多いが成果につながらない地域はないか
- 地域名を含む検索語句と広告文が合っているか
地域を絞りすぎると表示機会が少なくなることもありますが、広すぎる配信は広告費の分散につながります。商圏と実績を見ながら、配信する地域と除外する地域を調整することが大切です。
時間帯は、問い合わせ対応と成果を見て調整する
広告の配信時間帯も重要です。
Google広告では、曜日や時間帯を指定して広告を表示したり、特定の曜日・時間帯で入札調整を行ったりできます。Google公式でも、広告スケジュールを使うことで、特定の曜日や時間帯に広告を表示したり、入札単価を調整したりできると説明されています。
たとえば、電話問い合わせが多い業種の場合、電話対応ができない時間帯に広告を多く出しても、機会損失につながることがあります。逆に、夜間や休日にじっくり比較検討される商材であれば、営業時間外のアクセスが重要になることもあります。
時間帯を見るときは、次のような点を確認します。
- 問い合わせが発生しやすい曜日・時間帯はいつか
- クリックは多いがCVしにくい時間帯はないか
- 電話対応ができる時間帯と広告配信が合っているか
- 営業時間外でもフォーム問い合わせが発生しているか
- 平日と土日祝で反応に違いがあるか
時間帯の調整は、広告費を削るだけの作業ではありません。成果が出やすい時間帯に広告費を寄せることで、限られた予算を有効に使いやすくなります。
【ポイント】
注意事項として、P-MAX広告の配信などにおいては特に、完全に広告を停止する期間が長いと、改めて学習期間に入るためかえって効率が良くない場合があります。とは言え限られた予算での配信の場合、私なら停止します。
デバイスは、クリック後の行動まで見る
デバイス別の確認も欠かせません。
Google広告では、パソコン、スマートフォン、タブレットなど、ユーザーが使用しているデバイスごとの配信状況を確認できます。Google公式でも、デバイスターゲティングによって、使用している端末にもとづいて広告配信を調整できると説明されています。
たとえば、スマートフォンからのクリックは多いがCV率が低い場合、広告の問題だけでなく、スマホ表示や問い合わせ導線に問題があるかもしれません。
逆に、パソコンからのクリック数は少なくても、BtoB商材ではパソコンからの問い合わせ率が高いこともあります。
デバイスを見るときは、次のような点を確認します。
- スマートフォン、パソコン、タブレットでCV率に差があるか
- スマホで問い合わせボタンが見つけやすいか
- フォーム入力がスマホで負担になっていないか
- 電話タップが計測できているか
- パソコンで比較検討されやすい商材か
デバイス別の数字は、広告配信の調整だけでなく、ホームページ改善にも直結します。スマホのCV率が低い場合は、広告費を調整する前に、スマホページの見やすさや導線を確認する必要があります。

媒体選定も広告費の使い方に影響する
リスティング広告というと、Google広告を思い浮かべる方が多いと思います。しかし、実際にはGoogle広告だけでなく、Yahoo!広告、Microsoft広告なども選択肢になります。
どの媒体に広告費を使うべきかは、業種、ターゲット、地域、検索ボリューム、競合状況によって変わります。
たとえば、Google広告は検索利用者が多く、幅広い業種で中心になりやすい媒体です。Yahoo!広告は、日本国内では今でも一定の利用者があり、業種や年齢層によっては相性が良い場合があります。Microsoft広告は、Bingなどを中心とした配信で、ビジネス利用やパソコン利用の文脈で検討する価値があります。
ただし、最初からすべての媒体に均等に配信すれば良いわけではありません。
広告費が少ない場合、複数媒体に予算を分散させると、どの媒体でも十分なデータが集まらないことがあります。そのため、まずは主力媒体を決め、成果や検索ボリュームを見ながら拡張していく方が現実的です。
【ポイント】
パソコンでのCVが多い場合、Yahoo!広告、Microsoft広告での配信効果も十分考えられます。Google Analyticsで自然検索でのアクセス、CV状況も確認して配信を検討してください。
Google広告・Yahoo!広告・Microsoft広告の考え方
媒体を選ぶときは、単に「有名だから」「安そうだから」ではなく、目的とユーザー層に合わせて考える必要があります。
- Google広告:検索ボリュームが大きく、多くの業種で中心になりやすい
- Yahoo!広告:日本国内のユーザー層や業種によって相性が良い場合がある
- Microsoft広告:Bing利用者やパソコン利用者、BtoB領域で検討余地がある
媒体ごとに、ユーザー層、配信面、管理画面、広告仕様、審査基準、データの出方は異なります。
Google広告で成果が出ているからといって、そのまま同じ予算配分で他媒体でも成果が出るとは限りません。逆に、Google広告では競合が強いキーワードでも、別媒体では比較的効率よく配信できる場合もあります。
大切なのは、媒体を増やすことそのものではなく、どの媒体にどの役割を持たせるかを決めることです。
検索広告・バナー広告・動画広告の役割を分ける
広告費を集中させるという話は、検索広告だけに限りません。
Web広告には、検索広告、バナー広告、動画広告など、さまざまな配信方法があります。それぞれ得意な役割が異なります。
- 検索広告:今まさに探している人を集めやすい
- バナー広告:認知拡大や再訪問のきっかけ作りに使いやすい
- 動画広告:サービス理解や認知、比較検討前の接点作りに使いやすい
検索広告は、顕在化したニーズに対して強い広告です。一方で、まだ検索していない人や、比較検討前の人には届きにくい面があります。
バナー広告や動画広告は、検索広告とは違い、今すぐ問い合わせたい人だけを集めるものではありません。しかし、商品やサービスを知ってもらう、過去にホームページを訪問した人に再度接点を作る、比較検討中のユーザーに思い出してもらうといった役割があります。
ただし、広告費が少ない段階で、検索・バナー・動画をすべて広く実施すると、予算が分散してしまいます。まずは目的を明確にし、検索広告を中心にするのか、認知や再訪問も含めるのかを判断する必要があります。
予算が少ないほど、組み合わせは慎重に考える
Google広告、Yahoo!広告、Microsoft広告。検索広告、バナー広告、動画広告。選択肢が増えるほど、できることは広がります。
しかし、広告費が限られている場合は、選択肢を広げすぎることで、かえって成果が見えにくくなることがあります。
たとえば、月額数万円の予算を、複数媒体・複数配信メニューに分けてしまうと、ひとつひとつの配信量が少なくなり、判断に必要なデータが集まりにくくなります。
この場合は、まず検索広告に集中し、検索語句やCVの傾向を確認したうえで、必要に応じてバナー広告や動画広告を追加する方が現実的です。
広告運用では、「できることを全部やる」のではなく、今の目的と予算で優先すべきことを選ぶことが重要です。
配信を絞るだけでなく、ホームページも合わせて見る
地域・時間帯・デバイス・媒体を見直すと、広告費の使い方は改善しやすくなります。
ただし、配信を絞れば必ずCVが増えるわけではありません。
たとえば、スマートフォンからのクリックが多いのにCVしない場合、スマホの広告配信を抑えるだけではなく、スマホページの表示や問い合わせ導線を改善する必要があります。
特定の地域からクリックはあるのに問い合わせがない場合、その地域向けの情報や実績がページ内に不足している可能性があります。
夜間にフォーム問い合わせが多い場合は、営業時間外でも不安なく問い合わせできる説明や導線を整えることが重要です。
広告の配信設定とホームページ改善は、別々ではなくセットで考える必要があります。

配信設計は、目的から逆算する
地域、時間帯、デバイス、媒体、配信メニューを決めるときは、目的から逆算します。
問い合わせを増やしたいのか、電話を増やしたいのか、資料請求を増やしたいのか、認知を広げたいのか、再訪問を促したいのかによって、選ぶべき配信は変わります。
たとえば、すぐに問い合わせを増やしたい場合は、検索広告を中心に、地域や時間帯を絞って配信する方が合いやすいです。
一方で、比較検討期間が長い商材では、検索広告だけでなく、過去にサイトを訪問したユーザーへのバナー広告や、サービス理解を促す動画広告を検討する場合もあります。
広告運用では、媒体やメニューを先に決めるのではなく、目的、予算、商圏、ユーザー行動、ホームページの状態を見て設計することが重要です。
まとめ
リスティング広告の運用では、キーワードや広告文だけでなく、地域・時間帯・デバイスの見直しも重要です。
限られた広告費を有効に使うには、成果につながりやすい地域、問い合わせにつながりやすい時間帯、CVしやすいデバイスに広告費を集中させる必要があります。
また、Google広告、Yahoo!広告、Microsoft広告など、どの媒体を使うかも広告費の使い方に大きく影響します。さらに、検索広告だけでなく、バナー広告や動画広告をどう組み合わせるかも、目的と予算に応じて判断する必要があります。
大切なのは、広く出すことではなく、目的に合わせて広告費をどこに集中させるかを決めることです。
そして、配信設定を見直すだけでなく、ホームページ側の情報や導線も合わせて改善することで、広告費を成果につなげやすくなります。
次回は、運用編のまとめとして、「広告データをホームページ改善に活かす考え方」について解説します。
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