運用編 第1回:配信開始後にまず見るべき数字

リスティング広告は、配信を開始して終わりではありません。むしろ、配信を開始してからが本番です。
広告を出すと、表示回数、クリック数、クリック率、クリック単価、費用、CV数など、さまざまな数字が管理画面に出てきます。これらの数字を見ながら、広告の状態を確認し、必要に応じて改善していくことがリスティング広告運用です。
ただし、配信開始直後の数字だけを見て、すぐに広告文やキーワード、入札、予算を大きく変更してしまうのは注意が必要です。現在のGoogle広告は、AIによる最適化やレスポンシブ広告の仕組みが大きく関係しているため、ある程度データが集まるまで様子を見ることも大切です。
今回は、運用編 第1回として、リスティング広告の配信開始後にまず見るべき数字と、配信直後に慌てて変更しすぎない考え方について解説します。
配信開始直後は、学習期間と考える
リスティング広告を配信すると、すぐに多くの表示やクリックが発生する場合もあれば、数日間は思ったほど動きが出ない場合もあります。
特に、自動入札やコンバージョンを重視した配信を行っている場合、Google広告側が配信状況やユーザーの反応を確認しながら最適化していく期間があります。Google広告のヘルプでも、入札戦略に変更があった場合などには「学習」状態となり、最適化中は主要な指標が変動することがあると説明されています。
そのため、配信開始から数日間は、数字を確認しながらも、短期的な増減だけで判断しすぎないことが重要です。
もちろん、明らかな設定ミスがある場合は修正が必要です。たとえば、配信地域が間違っている、リンク先URLが違っている、広告が不承認になっている、コンバージョン計測が動いていないといった場合は、早めに対応しなければなりません。
一方で、「思ったよりクリックが少ない」「表示回数が少ない気がする」という理由だけで、戦略なしに設定を何度も変更するのは避けた方がよいです。
戦略なしにガチャガチャ変更しない
配信開始後にありがちなのが、数字が思ったように出ないからといって、短期間で多くの設定を変更してしまうことです。
- キーワードを次々に追加する
- 広告文を何度も入れ替える
- 入札単価や予算を頻繁に変更する
- 配信地域や時間帯をすぐに変える
- 広告アセットを毎日のように差し替える
こうした変更を繰り返すと、何が原因で数字が変わったのか分かりにくくなります。
広告運用では、変更すること自体が悪いわけではありません。大切なのは、何を確認し、どの仮説にもとづいて、どの設定を変更するのかを決めてから動くことです。
たとえば、表示回数が少ないのか、クリック率が低いのか、クリックはあるがCVしないのかによって、見るべき場所も改善方法も変わります。
数字を見ずに設定を変えるのではなく、まずは広告の状態を分解して確認することが必要です。
まず確認したい基本の数字
配信開始後にまず確認したい数字は、次のような項目です。
- 表示回数
- クリック数
- クリック率
- 平均クリック単価
- 費用
- CV数
- CV率
- CPA
- 検索語句
- 地域・時間帯・デバイス
これらはすべて重要ですが、最初からすべてを同じ重みで見る必要はありません。広告の目的や配信状況によって、優先して見るべき数字は変わります。
たとえば、表示回数が極端に少ない場合は、キーワード、地域、予算、入札、広告の承認状況などを確認します。表示はされているのにクリックされない場合は、広告文や検索語句との関連性を確認します。クリックはあるのにCVしない場合は、リンク先ページや問い合わせ導線も見る必要があります。

表示回数は、広告が市場に出ているかを見る数字
表示回数は、広告が検索結果などに表示された回数です。
表示回数が少ない場合、そもそも広告が十分に出ていない可能性があります。原因としては、検索ボリュームが少ない、キーワードが狭すぎる、配信地域が限定されすぎている、予算や入札が足りない、広告の品質や承認状況に問題があるなどが考えられます。
ただし、表示回数が多ければ良いというわけではありません。目的と違う検索に広く表示されてしまうと、無駄なクリックが増える原因になります。
表示回数は、「広告が出ているか」を見る数字であると同時に、「必要な人に出ているか」を確認する入口でもあります。
クリック数とクリック率は、広告文の反応を見る数字
クリック数は、広告がクリックされた回数です。クリック率は、表示された広告のうち、どのくらいクリックされたかを示す割合です。
表示回数はあるのにクリック率が低い場合、広告文が検索意図に合っていない可能性があります。ユーザーが探している内容と、広告の見出しや説明文にズレがあると、広告は表示されても選ばれにくくなります。
ただし、クリック率だけを追いすぎるのも注意が必要です。目立つ表現や広すぎる表現を使えば、クリックは増えるかもしれません。しかし、目的に合わないユーザーまで呼び込んでしまうと、広告費は増えてもCVにつながりにくくなります。
広告文は、クリックを増やすためだけではなく、目的に合った人にクリックしてもらうために調整するものです。
現在はレスポンシブ広告の考え方が重要
現在の検索広告では、レスポンシブ検索広告が中心です。レスポンシブ検索広告では、複数の見出しや説明文を登録し、Google広告が検索語句やユーザーの状況に応じて組み合わせを表示します。
Google公式でも、複数の見出しや説明文を入力すると、時間の経過とともにGoogle広告がさまざまな組み合わせをテストし、成果の出やすい組み合わせを学習すると説明されています。
そのため、「自分が表示したい広告文がなかなか表示されない」と感じることがあります。しかし、そのたびに同じような広告文を大量に入れ替えるのはおすすめしません。
似たような表現ばかりを増やしても、Google広告に渡す材料としては弱くなります。大切なのは、サービス名、強み、地域、悩み、行動喚起、ホームページ改善まで対応できることなど、意味の違う良い材料をバランスよく登録することです。
現在のリスティング広告では、AIに任せる部分が増えています。ただし、AIに任せるということは放置することではありません。成果につながる判断ができるように、質の良い情報を多く、分かりやすく渡すことが重要です。
平均クリック単価と費用を見る
平均クリック単価は、1クリックあたりにかかった平均費用です。費用は、実際に使われた広告費です。
クリック単価が高い場合、少ないクリック数でも広告費がすぐに消化されます。特に競合が多い業種では、クリック単価が高くなりやすく、月数万円の予算では十分なデータが集まりにくいこともあります。
このとき大切なのは、単純に「クリック単価が高いから悪い」と判断しないことです。高いクリック単価でも、問い合わせにつながる見込みの高いキーワードであれば、配信する価値があります。一方で、安いクリックでも、目的と違うユーザーばかりであれば広告費の無駄になります。
クリック単価と費用は、検索語句やCV状況と合わせて見る必要があります。
CV数・CV率・CPAで成果を見る
CV数は、問い合わせや予約、資料請求など、設定した成果が発生した数です。CV率は、クリックされたうち何%がCVにつながったかを示す割合です。CPAは、1件のCVを獲得するためにかかった広告費です。
リスティング広告では、最終的にこの成果指標を見ることが重要です。
ただし、配信開始直後はCV数が少ないため、数件の結果だけで判断すると偏りが出ることがあります。1件CVが入っただけで良く見えたり、数日CVがないだけで悪く見えたりすることもあります。
特に予算が小さい場合やクリック数が少ない場合は、判断に必要なデータが集まるまで時間がかかります。短期間のCV数だけでなく、検索語句、クリック率、リンク先ページの行動なども合わせて確認することが大切です。
検索語句は早めに確認する
配信開始後、早い段階で確認したいのが検索語句です。
検索語句は、実際にユーザーが検索した言葉です。登録したキーワードと、実際に広告が表示された検索語句は必ずしも同じではありません。
検索語句を見ることで、目的に合ったユーザーに広告が出ているか、無駄な検索に広告費が使われていないかを確認できます。
- 対応していない地域名が含まれていないか
- 無料、求人、やり方、自分で、など意図が違う言葉が含まれていないか
- 競合調査だけの検索に出すぎていないか
- 問い合わせにつながりそうな具体的な検索語句があるか
無駄な検索語句が見つかった場合は、除外キーワードの追加を検討します。ただし、これも闇雲に除外するのではなく、事業目的と照らし合わせて判断する必要があります。
地域・時間帯・デバイスも確認する
リスティング広告では、どの地域、どの時間帯、どのデバイスから反応があるかも確認します。
たとえば、商圏外の地域からクリックが多い場合は、配信地域の見直しが必要です。営業時間外に電話目的のクリックが多い場合は、時間帯の調整を検討します。スマートフォンからのクリックは多いのにCVしない場合は、スマホ表示や問い合わせ導線に問題があるかもしれません。
広告の数字を見るときは、キャンペーン全体の合計だけで判断しないことが大切です。地域、時間帯、デバイスに分けて見ることで、どこに広告費を集中させるべきかが見えてきます。
クリック後の動きはホームページ側で確認する
クリック数やクリック率はGoogle広告の管理画面で確認できます。しかし、クリック後にユーザーがホームページ内でどう動いたかは、Google Analyticsなどのデータも合わせて見る必要があります。
クリックはあるのにCVしない場合、広告だけが原因とは限りません。
- リンク先ページの内容が広告文と合っていない
- ファーストビューでサービス内容が伝わっていない
- 問い合わせボタンが見つけにくい
- フォーム入力が面倒
- スマートフォンで見づらい
- 料金や対応範囲が分かりにくい
このような問題があると、広告から目的に合ったユーザーを集めても、問い合わせにはつながりにくくなります。
リスティング広告の運用では、広告管理画面だけでなく、ホームページの受け皿も合わせて確認することが重要です。

まとめ
リスティング広告は、配信開始後に数字を見ながら改善していく施策です。まずは、表示回数、クリック数、クリック率、平均クリック単価、費用、CV数、CV率、CPA、検索語句、地域・時間帯・デバイスなどを確認します。
ただし、配信開始直後は学習期間でもあります。数日間の数字だけを見て、戦略なしに広告文やキーワード、入札、予算を何度も変更するのは避けた方がよいです。変更する場合は、どの数字に課題があり、何を改善したいのかを明確にしてから行う必要があります。
また、現在の検索広告はレスポンシブ広告が中心です。自分が表示したい広告文がすぐに表示されないからといって、同じような広告文を大量に入れ替えるのではなく、Google広告のAIが判断しやすいように、質の良い情報を多く渡すことが重要です。
広告の数字を見ることは大切ですが、広告だけで成果が決まるわけではありません。クリック後のホームページ内の動きも合わせて確認し、広告運用とホームページ改善を一体で進めることが、これからのリスティング広告運用では欠かせません。
次回は、広告費の無駄を減らすために重要な「検索語句と除外キーワードの見直し」について解説します。
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